海外で仕事をされている方に質問です。
あなたは今の仕事が好きですか?
海外では、たくさんの日本人の方たちが色々な事情を抱え、さまざまな仕事に就いていますよね。
天職に就いているという方、やりがいがある仕事をしている方、好きではないけれど、ビザ・語学力・資格などが理由で仕方なく今の仕事をしている方など色々な方がいます。
オーストラリアにいた頃の私は、やりがいよりも、日本語の仕事でそれなりに労働条件がいいからという理由で仕事を選んできました。
しかし、いつしか「日本人だからといって海外で出来る仕事が限られるのは嫌だ!」と感じるようになったのです。
そして、現地の会社に就職して公認会計士になるため、30歳目前の私はニュージーランドで会計学学士の勉強を始めました。
現在は、ニュージーランドの国家機関で税金に関する仕事をしています。
この記事では、海外に住んでいる方々が「日本人だから」と自分を制限することなく、自分のやりたい仕事に就くために必要な事とマインドセットについてを、私自身の経験を踏まえてお話しします。
また、これから海外に留学・移住しようとしている方には、海外でのキャリア構築の参考にしていただければうれしいです。
海外の今の仕事に満足していますか?
今の仕事に本当に満足されているかどうかを、今一度よく考えて頂くために、もう1つ質問をします。
もし日本に住んでいたとしても、あなたは今と同じ仕事をしますか?
例えば、日本在住の成績のいい営業マンだった男性が、仕事を辞めて海外に移住したとします。
営業の仕事が好きで海外でも営業の仕事を探すが見つからず、結局日本食レストランの皿洗いとして働くことになりました。
おそらくこの男性は、もしも日本に帰ったら、レストランの皿洗いの仕事を探そうとはしないでしょう。
日本であれば営業の仕事をすることができるので、皿洗いの仕事には魅力を感じないからです。
つまり、日本に住んでいる時には「やりたい」と思わないような仕事を、海外での生活のために受け入れてしまっているということですね。
日本に住んでいてもその仕事をしようと思わないのであれば、その仕事に心から満足しているとは言えません。
もし、今の仕事が好きでやりがいもあり、日本でも同じ仕事をするというのであれば、この記事は読まなくて結構です。
しかし、上記の営業マンと同じで、今は海外での生活のためにしている仕事があるけども「日本に住んでいたら同じ仕事はしないだろう。。。」と思う方は、ぜひ続きを読んでみて下さい。
私がニュージーランドで好きな仕事に就くまで
ここまで読んで頂いた方は「じゃあ、そんなあなたはどうなの?好きな仕事してるの?」と思っているかもしれません。
では、少し長くなりますが、私自身の仕事の経験をお話しさせてください。
冒頭でも触れましたが、私は現在、ニュージーランドの国家機関で税金に関する仕事をしています。
今の仕事をしている自分が誇らしいですし、とても恵まれた職場環境で働いています。(後にくわしくお話しします)
海外生活はもうすぐ15年目になりますが、そんな私の海外生活は、中学生並みの英語力・日本での就職経験なし・長期就労ビザなしという状況からのスタートでした。
英語力初級・現地の資格なしから始まった海外生活
私の海外初体験は21歳の時で、1年間のワーキングホリデー(ワーホリ)ビザで行ったオーストラリアのケアンズでした。
語学学校に通っている間、生活のために日本のお客さんを相手にするお土産屋さんでバイトをしました。
その後、ワーホリビザが切れたあともオーストラリアに残ることができる就労ビザを発行してもらうために、ケアンズの日系ツアー会社でツアーガイドとして人生初の就職をしました。
しかし、この仕事の労働時間がとんでもなく不規則で休みが本当少なく、今時の言葉を借りるとブラックな会社でした。
その後、ケアンズの日系の旅行代理店に経理兼、ツアーコンサルタントとして転職しました。
この頃にオーストラリアの永住権が取れ、旅行業以外の仕事をしたいと思いはじめます。
引越し先で仕事が決まらず味わう挫折
そんな矢先、当時のパートナーの仕事の都合により、観光地のケアンズから大きめの都市ブリスベンへ引越ししました。
ブリスベンは日本からたくさんのお客さんが観光に来る場所ではないので、観光業の仕事の需要はそれほどありません。
これを機会に観光業以外の仕事をするため、色々な所に履歴書を送りましたが、面接の連絡すら来ませんでした。
なかなか仕事が決まらず正直心が折れそうになり、日本に帰ろうかとも考えていたほどです。
今考えれば偏見ですが、それまで観光業の仕事をしていたため、当時飲食店で働くことには抵抗がありました。
しかし、生活のため日本食のレストランでバースタッフとウェイトレスとして働くことにしたのです。
日本食レストランで数か月働いた後、IBMのパソコン技術サポートの日本語コールセンターに就職が決まり、日中の仕事に戻ることができました。
それまでパソコンに関する知識はなかったのですが、トレーニングと日々の業務から知識を蓄えていき、この経験を生かして何か他の仕事ができないかと考えるようになりました。
現地の人と対等に競うには資格が必要だと気づく
ブリスベンでは、オーストラリア人を含むたくさんの人達と知り合いになりました。
中には公認会計士や上場企業の役員、銀行の支店長やレストランのオーナー等の成功している人も多く、とても刺激のある出会いでした。
また、日本人でもオーストラリアで大学を卒業し現地の会社で公認会計士として働いている人達にも知り合いになりました。
そして、ふと私の中にある疑問が沸いてきたのです。。。
「この人達と私の違いは何だろう?」
そこで気づいたのは、いい仕事に就いている現地の人達は現地の資格を持っているが、私にはなんの資格もないという事でした。
選ぶことのできる仕事が限られているのは「私が日本人だから」ではありません。
仕事の選択肢を増やすには、英語力の他に、現地の人達と対等に戦えるための資格が必要だという事にやっと気が付いたのです。
逆に言うと、それさえあれば現地の人達と対等に競い合う事が可能ということになります。
今考えると当たり前のことに気付いていなかっただけですが、それまでは現地の人達と同じ土俵に立とうとも思ってもいませんでした。
過去の自分は、日本人だからと縮こまって、「私は現地の人と違うから」と自分で線を引き、その線から一歩も外へ踏み出そうとしていなかったのです。
そして、私は日本人だから日本語に関わる仕事をずっと続けるのだと思い込んで、自分の可能性に蓋をしてしまっていました。
しかし、せっかく海外にいるのだから、海外で自分がどこまで出来るか試してみたい!と思い、オーストラリア人に出来て私に出来ないことはない!全ては努力で何とかなる!と自分を奮い立たせたのです。
ニュージーランドで会計学の学位を取り就職する
オーストラリアで大学に行こうと決断しましたが、私には貯金がなかったため日本へ出稼ぎに一時帰国する予定でした。
しかし、そんな時に今のニュージーランドのパートナーと出会い、数か月後にニュージーランドへ引越しました。
そして、ニュージーランドに引っ越してから約1年後、会計学の学士の勉強を始めたのです。
勉強の苦労や成功話は別の記事でお話ししますが、約2年半ほどで会計学専攻の学士号を首席で卒業しました。
しかし、会計士としての就職先を見つけるのには時間がかかりました。
全ての雇用先に当てはまるわけではないですが、やはり同様の学歴・資格と永住権があっても現地の人を優先的に雇いたいという傾向があります。
また、私が就職活動していた地域は採用枠が少なく、現地の学生でさえも就職先が決まらず苦労していました。
会計士の仕事を探している間は現地のIT関連の仕事し、卒業から1年2カ月後に現在の職場で就職が決まりました。
現在の仕事はとてもやりがいがある仕事で、数字を使う業務は理屈っぽい自分にとても合っていると感じます。
フレックスタイム制を導入している職場のため、時間にとても融通がききます。
フレックスタイム制は、出勤時間や就業時間が定まっておらず、必要な時間さえ働けば好きな時間に出勤・帰宅してもいいという素晴らしいシステムです。
そのため、少し家を出るのが遅くなっても「遅刻する!」と心配する必要がありません。
もうすぐ働きはじめてから約3年になり、公認会計士の資格があと数か月で取れる予定です。
たいへんありがたいことに、お給料はニュージーランドの平均年収よりも多く頂いています。
(NZ平均年収は$41,200(所得税控除前) – 2017年度調べ)
オーストラリアのIBMで働いていた頃のお給料と比べると1.5倍以上です。
ニュージーランドで資格を取らなかったら、ニュージーランドの平均年収程のお給料をもらう事はおろか、希望の職業に就くこともできなかったでしょう。
本当はどんな仕事がしたいですか?
これまで私自身が希望の仕事に就くまでのお話しをしてきましたが、この後は、あなたが自分の好きな仕事に就くための話をしていきます。
もし、ビザ・語学力・資格や、お金・時間の問題がなければ、あなたは今住んでいる国で本当はどんな仕事をしたいですか?
例えば、看護師さん、建築士、ビューティーセラピストなど、みなさん思い描く職業はそれぞれ違いますよね。
なかには、起業したいと考えている方もいらっしゃるかもしれません。
もちろん、絶対に英語など現地の言葉を使ってする仕事である必要はなく、好きな仕事であれば日本語を使う仕事であってもいいですよね。
その仕事をするためには何が必要でしょうか?
では、その本当にやりたい仕事をするためにあなたに必要なものはなんでしょうか?
一般的に、海外で自分の好きな仕事に就くためには以下のどれか、または全てが必要になります。
- 長期就労可能なビザ
- 語学力
- 現地で認識される資格
例えば、ニュージーランドで看護師さんとして働きたい場合には、長期で働くことのできるビザ・看護師さんとして働けるレベルの英語力・ニュージーランドで認められている看護師の資格が必要となります。
私の場合、公認会計士をめざすためには、まず会計学の学士号を修了すること、学士の勉強と就職のために英語力が必要でした。(永住権は取得済みでした)
海外で日本語を使う仕事に就く場合、私達は日本語が話せるため、日本語を話せない現地の人達よりも就職には有利です。
しかし、日本人が海外で現地の言葉を使う仕事をするという事は、現地の人達と同じ労働市場で就職先を探すということになります。
つまり、あなたがなりたいと思っている職業は、現地の人達もなりたい思っている可能性が高いのです。
海外に移住した日本人はビザ・語学力・資格が必要だという理由から、現地の人と比較した場合にスタートラインがマイナスの状態にあるというのが私の正直な意見です。
しかし、決して縮めることのできない差ではありません。
ビザ
海外で働くためには就労可能なビザが必要です。
長期で働くためのビザを取得するための条件は国により異なり、様々な方法があります。
通常、現地の会社の雇用条件は、永住権を持っている、または、長期就労可能なビザを持っていることを最低条件としている場合が多いです。
つまり、現地の人達と競うには、長期就労可能なビザや永住権を持っている事が必須条件となります。
例外もあり、もしも、希望している会社が就労ビザをサポートしてくれる場合、長期就労可能なビザや永住権の所持は必須ではありません。
海外に住んでいる方は既にご存知だと思いますが、永住権など雇用先に制限がなく長期就労可能なビザを取ることはそれほど簡単ではないですよね。
もし、永住権や長期就労可能なビザが必要な仕事に就きたい場合、ビザサポートをしてくれる他の会社で永住権を取った後に本当に就きたい仕事に応募する必要があります。
会社からビザをサポートしてもらう以外にも、現地の大学で学位を取って就労可能ビザを取得ができる国もあります。
ニュージーランドは、現地の大学の学位を取った後、1年程働くことのできるビザを発行しています。
就きたい仕事に関連する分野の学位を取得して卒業し、就労ビザのある1年の間に就職先を見つけ、その後永住権を申請する事が出来たら最高のシナリオですね。
語学力
現地の組織で就職するには、その国の言語を使って仕事をするため語学力が必要となります。
日本語の仕事を探されるのであれば別ですが、言うまでもないですが、語学力は現地の人と一緒に働くために大変重要な要素です。
英語環境の会社を例えに挙げると、ビジネス英語はもちろん、その業種の分野で必要な専門用語の英語の習得が必要となります。
そのため、日本での関連分野の職務経験や長期就労可能なビザがあっても、現地の組織で働くために必要な語学力がなければ就職が難しいといえます。
もし、現地で大学などに通うのであれば、専門用語はそこで習得することができますが、ビジネスに必要な語学は別で身に付けていく必要があります。
しかし、職種にもよりますが、完ぺきである必要はありません。
業務がスムーズにこなせるレベルの語学力があれば問題ないです。
現地で使える資格
日本から移住してきた私たちが現地の人達と競うには、その国で認められているを資格を持つという事がとても重要となります。
現地の人は、その国の言葉に関してはネイティブスピーカーで、市民権を持っている場合が多く、言語・ビザの問題はありません。
その上、現地で取得した資格を持っているのであれば、ほぼ完全武装です。
その完全武装に近づくためには、ビザ・言語力はもちろんの事、現地で認識される資格が必要です。
もちろん、ネットワーク関連やプログラミングなど、日本の経験や資格でも海外で通用するものもあります。
しかし、現地で認識されない資格、例えば看護師、教員免許等は、現地で同等の資格を取り直す必要があります。
希望している職業によっては、現地の資格は必須ではないですが、それだと現地の人達にとっても応募がしやすい職業という事になります。
そのため、差をつけるために少しでも関連のある資格を取っておくと就職に有利です。
海外で好きな仕事に就くためのマインドセット
最後に、上記でお話ししたビザ・語学力・資格に加え、とても大事なマインドセットについてお話しします。
「日本人だからといって海外で出来る仕事が限られるのは嫌だ!」
私が冒頭で書いた、以前に感じていたフラストレーションです。
では、よく考えてみて下さい。
あなたができる仕事を制限しているのは誰ですか?
それは、あなた自身ではないでしょうか?
「できるわけがない」「自信がない」と言い訳をしているのはあなたで、他の誰でもないはずです。
海外に住んでいる私たちは移民です。
しかし、だからといって大人しくしている必要はありませんし、引け目を感じる必要はないのです。
確かに、ビザ・語学力・資格は希望の仕事に就くためにはとても重要な要素ですが、あなたの挑戦しようという気持ち、一歩踏み出そうという気持ちはもっと大事なのです。
残念ながら、移民よりも現地の人を優先して採用しようという傾向はあります。
しかし、希望の職種での最初の就職先を見つけるのには少し時間がかかるかもしれませんが、あきらめずに応募し続ければ必ず見つかるはずです。
そして、最初の仕事さえ見つかればその後の転職は最初の就職ほど難しくないと言われています。
日本での学歴や経験は海外では認められにくく、マイナスからのスタートで、正直短く楽な道のりではありません。
しかし、目標を定め少しずつ進んで、自分のやりたい仕事に就いて海外生活を充実させましょう!
まとめ
- 海外で希望の職業に就くためには、現地の人達と同じ土俵で就職活動をする必要がある。
- 現地の人達と競うには、ビザ・語学力・資格が必要。
- 日本人だからといって引け目を感じる必要はない。
- 自分の可能性を自分で制限しないマインドセットが大事。
以上、海外で好きな仕事をするために必要な3つの事とマインドセットについてお話ししました。
この記事を読んで下さったみなさんのやる気に火を点けられたのであれば、とてもうれしいです。
もし、ご質問等ございましたらお気軽にお問い合わせくださいませ!